【BtoBマーケティング実践】半年で利益を2倍にした成功ノウハウ

【BtoBマーケティング実践】半年で利益を2倍にした成功ノウハウ

こんにちは。リアクセルの西川です。
私がWEBコンサルティング会社のマーケティングおよびセールス部門の責任者として、半年間で単月粗利のベースを2倍に増やした際に実行した事や注意したポイントなどを解説していきます。

具体的には、
【着任当初】粗利:2,000万円/月、営業利益:-500万円/月

【半年後】
・粗利:4,000万円/月、営業利益:1,500万円/月
を安定的に作り出せるようになったノウハウを経験談を交えてご紹介します。

※本記事は、過去に開催していた下記のセミナーを文字としてまとめたものとなります。

▼過去開催セミナー
https://reaxel.co.jp/archives/1218

  1. BtoBマーケティングの概要・背景のおさらい
  2. 施策立案
  3. リードジェネレーション・ナーチャリング
  4. 社内調整・マネジメント

の4つの観点でまとめています。
少し長文となりますが、読んで頂けると嬉しいです。

BtoBマーケティングの概要・背景のおさらい

顧客が営業担当に会うまでに購買プロセスの57%が終わっている

比較的有名なお話だと思いますが、下図の米国のコーポレート・エグゼクティブ・ボードが発表した「The Digital Evolution In B2B Marketing」では、見込み客の購買プロセスの内、半分以上にあたる57%は営業担当に会うまでに完了しているという調査結果が出ています。
この調査結果が発表された2012年時点で57%ですから、現在ではこの割合はもっと増加していると推測できます。
詳しい説明は割愛しますが、直近では「バイヤーイネーブルメント(Buyer Enablement)」や「セールスイネーブルメント(Sales Enablement)」といった考え方・概念も出てきていますね。

考え方や概念は色々とありますが、ここで重要なことは、インターネットが普及する以前は営業マンからの対面での情報取得が見込み客の主な情報取得経路だったものが、インターネットの普及やスマートフォンの登場により、情報流通量が爆発的に増加したことで見込み客が必要な時に必要な情報を取得することができるようになった点です。
このような背景から、従来の飛び込み営業やテレアポなどのプッシュ型施策では新規顧客の獲得は難しくなり、広告やメールマーケティング、セミナー/ウェビナーなどのプル型のマーケティング手法が注目されるようになりました。

BtoCとBtoBで「購買」方法が異なる

以下は、BtoBとBtoCの「購買」の違いを大雑把に整理したものとなります。

ここでの最大の違いは「決裁者」の項目で、実際にサービスや製品を利用する人と、サービスや製品の購入を決定する決裁者が異なるという点です。
「利用するのは自分自身だが、導入にあたっては部長決裁が必要」といったケースが皆さんのご経験上でもあるかと思います。
これが上記にあたります。

そのため、BtoBマーケティングを考える上では、
「必要な時に・必要な人に・必要な情報を届け、継続的にコミュニケーションを取ることが重要」
です。

BtoBマーケティングでやるべきこと

ここまでの説明を踏まえると、すごく難しいことをやらなければならない印象を受けますが、実際にやるべきことはシンプルに分けると以下の3つです。

端的な話、上記3つの各プロセスを最適化すれば結果として売上・利益は増えます。

また、各プロセスをもう少し細かく分解し、図示すると下記のようになります。

左上の「オフライン」施策については、パンデミック禍では難しいと思いますが、
整理すると、

  1. 何らかの施策によって、見込み客の個人情報を取得する
  2. 個人情報を取得した時点で営業対象となるか否かを選別
  3. 熱量が高く営業対象となる見込み客に対しては、インサイドセールスやフィールドセールスに引き継ぎ、クロージング活動を実施。
  4. 対照的に個人情報取得時点で熱量が低く営業対象とならない見込み客に対しては、SFAやMAなどのデータベースに顧客情報を登録し、その後メルマガなどを通じ継続的なコミュニケーションを図る。
  5. 以上のプロセスを繰り返し行う。

たったこれだけ。全体を俯瞰的に考えるとやるべきことは至ってシンプルです。

BtoBマーケティングを進める上での前提

上記の背景を踏まえ、BtoBマーケティングを進める上で考え方や意識として、私が持っておいた方が良いと思う前提の考え方が下記の4点です。

・最終目的はあくまで「受注」すること。
「リード数」や「商談数」を増やすことが最終目的ではない。(手段・プロセスを目的化しない)

・「組織の壁」をどう突破するかが重要。
マーケティング部門だけで売上・利益といったKGIを達成するのは無理がある。(他部署に協力して貰う必要がある場面が必ず出てくる)

・自社の状況に合った施策を選択すること。
(例えば、営業2名しかいないのに100件/月商談が入ってもフォローできない)

・テクノロジーやツールは「魔法の杖」ではなく、「手段」であることを理解する。
(導入して満足しない。あくまで活用してなんぼ。)

施策立案

次に施策の立案についてポイントをご紹介します。
いきなりですが、結論から入ります。
西川流の施策立案をする際のポイントは以下です。

①この部分に時間掛けすぎない。大事なのは実行に移すこと。
②マーケティング担当者だけではなく、インサイドセールス・営業部門の責任者やサービス・プロダクトに関わるコンサルタント、エンジニアなども巻き込むのがおすすめ。
③認知~再受注(継続契約)までのリード(見込み客)の各フェーズのステークホルダーを明確に。
④BtoCほど精緻でなくてもいいですが、狙うべきターゲットはある程度の粒度で明確に。
⑤複数部門間で共有・運用するKPIは可能なら1つとする。

では、それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。

時間を掛けすぎない。大事なのは実行すること。

以下は、「Harvard Business Review 2018年7月号」に掲載されたマーケティング施策のA/Bテストに関する論文の抜粋でここには、

“グーグルやBingの場合、実験のうちよい結果が出るのは10~20%にすぎない。マイクロソフト全体では、三分の一が有効、三分の一が変化なし、三分の一が悪影響である。”

Harvard Business Review 2018年7月号より引用

と書かれています。
つまり、グーグルやマイクロソフトなど一般的に優秀だと言われている人達が考えた施策でも成功確率は良くて30%程度。
良さそうだと思った施策は少額でもいいので、まずはやってみる事が重要だと言えますね!

私の場合は、次項の通り他部門の人を巻き込み、4時間程度のMTG1回でベースとなるマーケティング施策全体の立案(設計)を終わらせてしまいました。

施策の立案にあたっては他部門も巻き込む

最初に誤解がないよう断っておきますが、ここで言う施策立案というのは、
「来月のホワイトペーパーのテーマ何にしよう?」や「次のコンテンツのテーマどうしよう?」というような個別施策の企画の話ではなく、マーケティング施策全体の設計を指しています。
その上で、何故他部門も巻き込んだ方がいいのか?についてですが、

・他部門も巻き込むことで施策の幅や精度が増します。
マーケティング部門だけで考えられる施策の幅には限界があると思います。
何故なら、普段から直接的に顧客と接している訳でも、直接的にプロダクトの開発を担当している訳でもないからです。
そのため、営業やカスタマーサクセス、エンジニアなどの他部門も巻き込み、アイデア出しに協力してもらう事で施策の幅や精度が向上します。

・同時に、目標や目的の共有もスムーズに。
これから行うマーケティング活動の設計段階から入って貰う訳ですから、当然その後に「マーケティング部門では〇〇という施策を計画しており~」といった情報共有のための面倒な説明が不要になりますし、施策の実行を進める上で何かしらお願いしたい際にもお願いしやすくなります。

以上の理由から設計段階で他部門を巻き込むことをお勧めします。
私の場合は、

  • 副社長(解析部門の責任者)
  • SEO部門の責任者
  • 広告運用部門の責任者
  • エンジニア
  • 自部門のNo.2

など、思いっきり人を巻き込んでMTGに同席してもらい、KJ法で案を抽出し、整理しました。
また、最終的には、フォーマットはエクセルだろうがパワーポイントだろうが何でも良いと思いますが、以下のような1枚のシートにまとめると共有がよりスムーズかと思います。

上記のフォーマットは、下記弊社サイトからDLできます。
私が当時実際に作成したサンプル(一部、出せない部分は除外)付きとなっていますので、よければご参考にされてください。

▼施策立案シートのDLはコチラ
https://reaxel.co.jp/material/btob-method

認知~再受注(継続契約)までのリード(見込み客)の各フェーズのステークホルダーを明確に

これは読んで字の如しですが、リード(見込み客)への認知から始まり、受注・再受注(契約継続)といったゴールまでの間の各フェーズ(プロセス)における責任範囲を明確にしましょう。というお話です。

分かりやすい例で言うと、
・認知~ホットリード化:マーケティング部門
・商談の獲得:インサイドセールス部門
・受注~契約継続:営業部門
など。

その際、リード(見込み客)の各フェーズについては、認識が部門間でぶれないようにしっかり言葉で定義しておくことをお勧めします。
この辺りも弊社の施策立案シートのサンプルを御覧頂ければ、何を言っているのかすぐに分かると思います。

▼施策立案シートのDLはコチラ
https://reaxel.co.jp/material/btob-method

狙うべきターゲットはある程度の粒度で明確に

BtoCのように、「二子玉川のタワマン在住の30代中盤~40代後半の趣味はサーフィンの男性。子供は2人でプードルを飼っている。健康意識も高く週2回はジムでトレーニング~」のような細かい設定は不要だと思いますが、ある程度の粒度で狙うべきターゲットは明確にしましょう。
逆に粒度が低く、「大手企業」みたいなざっくりしたターゲットでは、リード獲得のための広告媒体を選ぶ際やランディングページのキャッチコピー1つ考えるのにも苦労するでしょう。

(例)筆者が当時設定していたターゲット

上記のターゲットに対し、BIツールを駆使した解析サービスをフックに、広告やSEOなどの月額課金型サービスを受注するという方針で営業を行っていました。

複数部門間で共有・運用するKPIは可能なら1つに

個人的に世の中KPIという言葉が乱用されているように感じています。
KPIとは、日本語では「重要業績評価指標」のことで、KGI(最終的な目標数値)達成のための中間的な指標です。
つまり、本来はKGI(最終的な目標数値)と連動する数値目標のことを指すため、可能ならこのような追いかけるべき数値目標はKGI以外では1つとすべきです。多くても3個までには抑えるべきでしょう。
そうでないと、例えばマーケティング部門と営業部門で議論や調整をする場合に、どの数値を追うべきか曖昧になり、共通認識の元に会話することが難しくなるでしょう。結果、部門間の軋轢の1つの要因となります。
故に、理想としては複数部門で共有・運用するKPIは1つとすべきです。
さらに言うならば、KPIは前述の通りKGIと連動すべきですから、KSF(KGI達成の鍵となる最重要プロセス)を数値化したものを設定すべきです。

・KPI/KGI/KSFの関係図

【良いKPIの条件】
①KSFを数値で表したものであること
②KGIの達成と連動する数値目標であること
③自社の努力でコントロール可能な数値目標とすること
④誰でも理解できるシンプルなものであること

こちらも私の例を挙げると、
KPI:「有効商談(案件化)数〇〇件/月」=Googleアナリティクス/Googleサーチコンソール/Google広告いずれかの無料診断をお願いされる商談数
と設定しており、この例では「Googleアナリティクス/Googleサーチコンソール/Google広告いずれかの無料診断をお願いされること」がKSFです。
KSFであるいずれかの無料診断を実施すると、受注率が高いことが自社のデータ上で分かっていたことに加え、

  • 無料診断により実際のWEBデータに基づいた、具体的な提案ができる
  •  無料診断を行うためにはNDAに捺印(サイン)してもらう必要があり、一度サインして貰うと本契約時のサインの心理的ハードルも下がるだろうという仮説

ということもあり、上記のKPIを設定していました。
その結果、マーケ・インサイドセールス・営業すべての部門において、優先して追うべきはリード獲得数でもアポ獲得数でもなく、「有効商談数=無料診断をお願いされる商談数」という共通認識の元、スムーズに業務を遂行することができました。

リードジェネレーション・ナーチャリング

ここまで読んで頂きありがとうございます。ここからはリードジェネレーションとリードナーチャリングで気をつけていたポイントなどをご紹介します。

リードジェネレーションの定石を知ろう

まず、リードジェネレーション(リード獲得)については、ある程度定石というか型のようなものが存在します。
以下は、類似のものをどこかで見られた事があるかと思いますが、マーケティングファネルに各施策をプロットした図となります。

一部の例外を除き、コンバージョン(リード獲得)に近い①の施策から始めるのが定石です。
これからWEBを使ってを行っていきたいなと考えられている方は、この中でもLP(ランディングページ)の作成×リスティング広告、もしくはLP(ランディングページ)の作成×Facebook広告辺りから開始されるのが、コストも比較的少なく、リスクも低く始められるためオススメです。

顕在(比較・検討)層向け施策だけだと頭打ちが来る

ただし、コンバージョンに近い施策ばかりだとマーケティングファネル全体が細ったままですし、競合の参入数増加に伴い、次第にCPA(獲得単価)が高騰しコンバージョンも減少していく事が多いです。
そのため、いずれはより上位の「準顕在(情報収集)層」や「潜在(認知・興味関心)層」への施策によりマーケティングファネル全体を太らせることが必要となります。

川に見立てるなら、より多くの水を流すために川幅自体を広げるイメージです。

施策は必ずCTA(コンバージョンポイント)とセットで考える

施策を実行する上で、必ず考えて頂きたいのが、見込み客のフェーズ(熱量)の応じて、施策とCTAをセットで考える(一致させる)ことです。
以下、ざっくりプロットした図となります。

調べたいことを能動的に検索している見込み客にアプローチ可能なリスティング広告と、ニュース記事などを閲覧している際に表示される(受動的に情報を受け取っている)ディスプレイ広告では、そもそも見込み客の熱量は全く異なるため、熱量に見合ったCTAを用意しましょう。
気になる異性がいたとして、いきなりデート(お問い合わせ)を申し込んでも一部の例外を除き、大抵の場合うまく行かないですよね?

  1. まずはLINEのID交換をお願い
  2. 食事に誘う
  3. デートに誘う
  4. 告白

というようにお相手の熱量に合わせて段階的なプロセスを踏むはずです。

リードナーチャリングとは?

続いてリードナーチャリングについてです。
突然ですが、皆さんに質問です。
リードナーチャリングとは一体なんでしょうか?
「nurturing」をGoogle翻訳にかけると「育成」と出てきます。
英語で育てる・教育すると意味の「nurture」の現在進行形ですね。
これに「リード(lead)」を頭に足して日本語にすると、「見込み客の育成」となります。
本来自社の商品やサービスを購入して頂くお客様を育成するって、何かおこがましくないですか?

前項にも記載しましたが、恋愛で言うと気になる異性とお付き合いしたいと思った時に、お相手の事を育成しようなんて思いますか?って話です。
それらを踏まえ、私が考えるリードナーチャリングとは、

継続的に見込み客とコミュニケーションを取る(接点を持つ)ことで、課題(ニーズ)が顕在化した際に、ご相談頂く機会を創出すること

です。

リードナーチャリングのポイント

以上を踏まえて、西川流リードナーチャリングのポイントです。

・「育成しなきゃ!」「育成できる!」という思い込み・幻想を捨てる。
→継続的に接点を持つために、「役立つ情報はなんだろう?」「どうしたら相談してもらいやすくなるかな?」という視点で情報発信!

・MA(マーケティングオートメーション)はマストではない。仮に使う場合、スコアリングに傾倒しすぎない。あくまで目安として考える。 ※ただし、数万~数十万件のリストがある場合は必要
→MA上のスコアが低くても、困っている人や検討している人はいます。逆にスコアが高くても、一向に商談に繋がらない人もいます。

・数千件のハウスリストしかないのに、セグメントを細分化しすぎない。
→各セグメントの母数が少なくなりすぎて、工数に対して成果が見合いません。

リードジェネレーションのためにやったこと

ここからは、私が当時実際に行った事例のご紹介となります。
前提として、マーケティングに使えるコストが殆どない状態だったので、
ほぼお金を掛けずに行った施策の事例となります。
具体的には、

  1. セミナー(ウェビナー)
  2. 共催セミナー
  3. 交流会での名刺獲得
  4. 代理店開拓
  5. コンテンツマーケティング(ブログ)
  6. ホワイトペーパー
  7. 資料請求サイト
  8. メディアへの寄稿記事による認知獲得

を中心に実行しました。
それでは、個別に少し詳しく見ていきましょう。

▼セミナー(ウェビナー)および共催セミナー

  • 少ない時で月2回、多い時だと毎週テーマを変えてサービスごとのセミナー開催。共催セミナーを合わせると月5、6回開催することも。
  • 集客経路のメインは無料セミナー掲載サイト。集客が芳しくない場合のみ、少額でFacebook広告を出稿。
  • 代理店開拓を実現するため、代理店の方の参加もOKにしていた。

▼交流会での名刺獲得

交流会つきのイベントに出向き、ひたすら名刺交換。
MAツールやSFAツールのユーザー会がターゲット企業群の決裁者が多く良かった。その他のイベントはパッとせず。

▼代理店開拓

主にセミナーに参加した代理店の人にアプローチ。インサイドセールスの稼働が空いてる時はコールドコールも実施。販売代理店だけでなく、共済セミナー相手も開拓。

▼コンテンツマーケティング(ブログ)

営業・マーケ・コンサル・エンジニアなどサービスに関わるスタッフ全員が持ち回りでブログを執筆する体制を構築。
ただし、在職中にリード獲得施策として成果が出るまでには至らなかった(時間が足りず)。

▼ホワイトペーパー

各コンサル(SEO・広告・解析)部門に月に1本作成を依頼。⑦の資料請求サイトへ掲載。
後に黒字転換した後は、Facebook広告で出稿。

▼資料請求サイト

上記で作成したホワイトペーパーを掲載。資料ダウンロード者へ一旦架電後、アポにつながらなければセミナー・ウェビナーをご案内。

▼メディアへの寄稿記事による認知獲得

直接的なリード獲得施策というよりは、指名検索(会社名での検索)の回数を増やすこと、WEBサイトへのセッション数を増やすこと、営業時にエビデンスとして提示することを目的に行った。(社長が元々メディア出身で、コネと人脈をフル活用)

以上を行った結果、ほぼお金を使うことなく200~300件/月程度の新規リードが獲得できるようになりました。

リードナーチャリングのためにやったこと

続きまして、リードナーチャリングで実行した事についてです。
主に行ったこととしては、以下の通り。

  1. セミナー(ウェビナー)
  2. 共催セミナー
  3. 月次メルマガ
  4. 新着ブログ案内(メール・SNS)
  5. 新着ホワイトペーパー送付

お気づきかと思いますが、3を除きすべてリードジェネレーションを行った施策と同一です。
つまり、新規リード獲得のために行っていた施策は、既存リードと接点を持つための施策にもなっていたということです。

▼リードナーチャリングの骨子

如何にインサイドセールスのアプローチ対象リスト数を増やすか?

お金と同様に人材リソースについても限られていたため、

  • 代理店開拓以外のコールドコールはできない、やりたくない。
  • セグメントの細分化しない(BtoB/BtoC/EC分類のみ)。
  • MAのスコアリング無視。

取捨選択し、負荷対効果の高そうなことにリソースを集中。

前項の5つの施策を中心に実行し、資料DLや申し込みなど何かしらのアクションを起こした見込み客だけに架電または個別メールでアプローチ。
セミナー・ウェビナーについてはお申し込みやメール内のリンククリック者に、開催当日を待たずに、セミナーの事前フォローという名目で架電しアポを獲得。
以上の形で回していました。

▼セミナー・ウェビナーをHUBとして全体を設計

当時行った施策全体を図示すると以下のようになります。

その他、過去失注案件で、是非とも契約したい案件については、社長訪問をネタに再接触の機会を創出。
また、商談アポの条件としては、BANT条件に沿って以下の通り設定し、条件を満たさない場合アポは取らない形で運用していました。

・Budget(予算):提案しようとしているサービスを導入できるだけの予算があること。
・Authority(決裁権):決済権があること。無い場合は、決裁者の同席を依頼。
・Needs(必要性):課題としてヒアリングした事項が、会社・部署としての課題であること。
・Timeframe(導入時期):理想は1ヶ月以内。6ヶ月以内であればOK。

結果、毎月のKPIである有効商談(案件化)数もクリアし、商談数に対しての有効商率も60%程度と非常に効率的なマーケティング・セールス活動を行うことができました。

社内調整・マネジメント

最後に社内調整とマネジメントについてです。
私はマネジメントの専門家ではありませんので、私なりに当時試行錯誤した結果実施して良かった事をご紹介します。
この章のテーマである、社内調整やマネジメントがtoBでもtoCでもマーケティング活動を進める上では、最も重要であり難しいテーマだと思います。
私自身もかなり苦労し、試行錯誤した部分でもありますので、一つでも現在同じように苦労されている方の参考になれば幸いです。

社内調整

まず社内調整については、主に以下の4点を意識して立ち回ると円滑に仕事が進むようになりました。

  • 社長に直談判し、マーケとセールスの両部門を自分の管理下にした。
  • 各部門の責任者とは密なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築した&各部門に信頼できる腹心を作った。
  • 経営会議の場で、マーケ&セールス部門としてやりたいこと、協力してほしいことのアグリーを取り付ける。
  • 週次で全従業員が集まる朝礼時に、マーケ、セールスの数字の進捗共有と考えている施策などについて共有し、スタッフ全員が数字への意識を強く持つようにした。

1つずつ簡単に解説していきます。

・社長に直談判し、マーケとセールスの両部門を自分の管理下にした。
これはなかなか一般的な企業だと実行が難しいかも知れませんが、ベンチャーだったので経営陣が柔軟だったこと、業績が悪く切羽詰まっていた事が幸いしました。
私が入社した当時というのはマーケティング部門とセールス部門が分かれており、有機的に機能しているとは見えない状態でした。
マーケとセールスのあるあるですが、業績が悪いことに対してお互いに責任の擦りつけ合いをしている状態ですね。
私は入社後1ヶ月ほどはセールス部門ではなく、他の部門(解析部門)に所属しており、急遽セールス部門の責任者となった訳ですが、まず上記のマーケとセールスの溝を取り払う事から着手しました。
見出しのままですが、その溝を取り払うために部門を融合させ、一人の管理者の元動かした方がスムーズだと考えたため、数字責任は全て自分が追うことを条件に社長に交渉し、両部門を自分の管理下としました。
そうすると、当時のマーケ部門の責任者だった人は、その職責を失い関係性としては私の部下となる訳です。
最初こそぎくしゃくしましたが、業績が改善すると共に関係性も良いものに変わっていき、今では友人の一人です。
悔しさも当然あったでしょうが、その彼の大人な対応や人しての器量の大きさを尊敬しています。

・各部門の責任者とは密なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築した&各部門に信頼できる腹心を作った。
見出しそのままの意味ですが、各部門の責任者とは食事などの業務外でのコミュニケーションも含め、密にコミュニケーションを取り、自身の考えや数字の状況などを伝え仲良くなったということです。
加えて、私はココがポイントだと思っていますが、彼らの管理下にあったメンバーの中から責任感の強く、信頼できそうな人を見つけ、同様に仲良くなりました。
何故ポイントかというと、部門長を押さえるだけではなくメンバーも押さえておくことで、仮に何かの協力依頼をした場合に部門長が(リソースの兼ね合いなどで)決めあぐねていても、そのメンバーが味方になって後押ししてくれたりしたんですね。

仮に広告部門の部門長を太郎さん、メンバーを次郎さんとするとこんな感じです。

私「太郎さん、FB広告関連で〇〇っていうテーマのホワイトペーパー作ってくんない?」
太郎さん「どうしよかな?結構リソースがパツパツなんよねぇ。」
次郎くん「この前話してたホワイトペーパーの件っすか?いいっすよ、俺やるんで。それで良いですよね太郎さん?」

いや、次郎くん神か!って話なのですが、普段からコミュニケーションを密に取り、自身の考えを伝え、良好な関係を気づいておくと、本当にこういう神展開が起こったりします。

・経営会議の場で、マーケ&セールス部門としてやりたいこと、協力してほしいことのアグリーを取り付ける。
こちらは特に説明不要かと思いますが、毎週行われていた経営会議の場で予めメンバーと話合って決めていた項目について半ば強引にでもその場でアグリーを取りつけることを重視していました。

・スタッフ全員への数字への意識づけ
これは2番目の項目と通ずる部分がある結構重要な項目です。
基本的に売上に直結するスタッフ以外は会社の業績に関心がどうしても薄くなってしまうため、現状数字を理解して貰い一人一人に業績へ貢献する意識を持ってほしいという願望の元行っていました。
業績貢献への意識が高まると、自然とマーケやセールスに協力的に動いてくれる人が増えます。

メンバーのマネジメントについて

「管理」をするのではく「メンバーひとりひとりの成長=市場価値を上げてもらうこと」を最重要と意識して取り組んでいました。
上記の考えの元に、

  1. 各メンバーとは毎月15分のOne On Oneを実施して、能力や適性に応じ、少し背伸びしたタスクとKPIを共有、確認。(答えは予めこちらで考えておいて困ったらフォローできるようにしておく)
  2. 各人のKPIの明確化と給与体系の変更。自チームのメンバーは自分も含め給与の一部を目標粗利達成率による変動制に。

以上の2点が実行して良かったなと思う事項です。
2については、人事制度が絡むためなかなか実践は難しいと思いますが、1については誰でも実践可能な事項です。
マネジメントにお悩みの場合は実践されても良いかもしれません。

営業面でのマネジメントについて

実践していたのは主に以下の4点です。

  1. Salesforceのダッシュボードで日々のモニタリング指標の進捗を管理。アプローチ数、商談数、有効商談、見積もり提出、上申、注文書、受注、KGIの進捗を一目で分かるよう可視化。
  2. 週に1回1時間、クライアントワークに携わる人間を対象に、Salesforceのデータクレンジングタイムを設けた。併せて、情報が登録、更新されていない商談を案件担当者にslackで通知し、データの鮮度と正確性を保った。
  3. 商談に行った案件で2週間未フォローのものはslackに通知。
  4. 新規で訪問した案件は、全てslack上でchannelを作成し、リアルタイムに情報共有&コミュニケーション。

データの精度を高め、極力属人的な管理にならないような仕組みを作ることを重視していました。
特に1については、特段Salesforceにこだわる必要はないですが、受注までのファネルを可視化することで、どの工程の歩留まりが悪いのかが一目瞭然となると同時に、インサイドセールスの稼働状況も把握できるようになります。

ここまで読んで頂きありがとうございます!
特別優秀ではない筆者でも上記のような自分なりの工夫をすることで一定の成果を上げることができました。
何か一つでも読んで頂いた皆さんの参考になれば幸いです。

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